01H₂O
水 / ARC–12 水・食料街区
水を、つくり続ける。
一滴は、都市を何度も歩く。
月面都市の水は、蛇口から突然現れない。氷として運ばれ、浄化され、身体を通り、空気から集められ、再び朝のコップへ戻る。10万人の都市では、一滴にも長い履歴がある。
循環とは、同じ水を我慢して使うことではない。いつでも安心して飲める状態へ、何度でも戻すことだ。
氷は、水になる前に都市へ届く。
採取拠点から届く氷は、白い塊のまま貯水槽へ入らない。貨物容器ごと隔離区画へ運ばれ、成分、微粒子、揮発性物質を調べる。溶かした水は用途別に分けられ、飲料水になる部分だけが複数段の浄化と検査を通る。
供給は一つに頼らない。極域からの氷、回収水、備蓄、酸素と水素から合成する非常用ラインを組み合わせる。遠い採取拠点の停止が、その日の食卓を止めないためだ。

氷は、水になる前に都市へ届く。
シャワーの湯気は、翌朝の飲み水になる。
住居から出た水は、台所、洗濯、シャワー、衛生設備で別々に集められる。汚れ方が違えば、必要な処理も違う。最初から混ぜないことが、少ないエネルギーで安全な水へ戻す近道になる。
空調が集めた呼気の水分も回収される。浄化後の水は味と匂いを整え、検査を通って配水網へ戻る。住民が飲むのは『古い水』ではなく、毎回品質をつくり直された水だ。

シャワーの湯気は、翌朝の飲み水になる。
漏水は、音のない火災として扱う。
壁の内部で数滴が失われても、長く続けば都市の損失になる。配管は区画ごとに流量と圧力を監視し、いつもと違う振動を検知すると、その範囲だけを止める。修理班は居住区全体を断水させず、二重化された経路へ水を迂回させる。
漏れた場所は隠さず、住民画面に復旧見込みと代替給水所を表示する。水を守る技術には、配管だけでなく、混乱を起こさない情報の流し方も含まれる。

漏水は、音のない火災として扱う。
都市代謝データ
- 回収目標
- 最大99.6%
- 新規供給
- 氷・備蓄・合成
- 配水
- 区画別の二重経路