02O₂
食料・空気 / ARC–12 水・食料街区
緑と発酵で、毎日を養う。
食べることと、呼吸することはつながっている。
植物は食料をつくり、二酸化炭素を受け取り、街に色と匂いを与える。しかし10万人の空気を庭だけへ任せない。栽培、発酵、化学処理が互いを補い、食卓と呼吸を同時に守る。
都市の肺は一つの巨大な森ではない。小さな生産系を重ね、どこかが止まっても呼吸を続けられる構造だ。
植物庭は、公園であり生産設備である。
居住街区の植物庭では、葉物、ハーブ、実のなる作物が育つ。住民には公園に見えるが、管理室では光、養液、二酸化炭素、病害の兆候が監視される。眺める緑と食べる緑を分けず、毎日の近くへ置く。
ただし、植物だけで都市の酸素を保証しない。収穫量を増やす判断が空気の安全と衝突しないよう、酸素生成と二酸化炭素除去には独立した設備も持たせる。

植物庭は、公園であり生産設備である。
畑にならない空間では、発酵槽が働く。
菌糸、酵母、藻類、培養たんぱくは、広い土を必要としない。密閉された槽の中で温度と栄養を調整し、パン、調味料、主菜の素材をつくる。収穫までの期間が短いため、人口や需要の変化にも対応しやすい。
発酵は保存方法でもある。収穫が集中した野菜を長く食べられる形へ変え、味の単調さを防ぐ。生命維持の技術が、数世代後には街区ごとの香りや家庭の味になる。

畑にならない空間では、発酵槽が働く。
吐いた息にも、次の行き先がある。
人が吐いた二酸化炭素は空調で集められ、栽培室や処理設備へ送られる。匂い、湿度、微粒子も区画ごとに監視し、病気や火災の兆候を空気の変化から見つける。空気は見えなくても、都市の中では常に測られている。
どこかの栽培室で病害が見つかれば、その空気循環を切り離す。食料生産を止めても、居住区の呼吸は止めない。緑の都市を美しく見せることと、安全な都市をつくることは、同じ設計ではない。

吐いた息にも、次の行き先がある。
都市代謝データ
- 食料生産
- 栽培・菌糸・発酵
- 空気管理
- 生成・除去を独立化
- 異常検知
- 匂い・湿度・微粒子